優しい人

「で、でも…」どうして私なんか選んだのだろう、他にも部長に似合う人がいるのに


「急に連れ出してこんな事言ってスミマセン、でも今日の飲み会で、次から次に男性社員が来るのを見て、いてもたってもいられずにいたものですから」
穏やかな顔で、それでもハッキリ言ってくれた



「美咲さんが、私の事をどう思っているのかなんて考えて居ませんでした」



「私なんかでいいんですか?」



「なんかって言うのはやめて下さい、とても魅力的ですよ」




「でも…」急に告白されて、どうしたらいいのか分からないでいると




「私の事嫌いですか?」不安そうな部長




「まさかっ!誰でも部長に憧れてますよ、私だって…」つい、恥ずかしくなって下を向くと




「私だって?」優しく聞き返す、そうなると答えなくちやいけない




「部長の事、憧れています」言っちゃった




でも、部長は
「では憧れではなく、私を好きになってくれませんか?」




「部長をですか?」




「そうです、私も気は長い方だと思うのですけれど、今日みたいな事が起こると…」と言って近づいてきて、私をそっと抱きしめる


優しくそっと、そして



「ヤキモチを妬いてしまいます」耳元で言われた

抱きしめられた腕の中
甘めのムスクとタバコの匂い