その帰り道----

私の実家が見えなくなった辺りまで走らせた車。

赤信号で停まるや否や運転席に座る京次さんは一息つく。

挨拶を終えてホッとしたのだろう。

反対されることもなく、結婚までの道筋は順調!


「ケイジさん、疲れたでしょう?」

「いやっ、大丈夫だ」

「そうですか、よかった

 お母さんったらほんとお喋りで
 一人うるさくてごめんなさい」
 
「何、賑やかなのは大歓迎だよ

 静かな方が人見知りな性質の
 俺としては困る」

「えっ、人見知り!
 ケイジさんがですかぁ?」


助手席で驚いて見せる私。


「ああ、何、見えないって話?」

「はい!
 
 初めて出会ったあの日も
 ケイジさんが話しかけてくれて
 私、助かりました」

「ああ、そうだな
 
 書道教室を開いてからは昔よりは
 まだ話せるようになったか

 以前は身内以外とは口を利いた
 こともなく、寡黙な男で通ってたから」

「そうだったんですか」