京次さんに深く頭を下げる父の姿に、私の胸は熱くなるのだった。

「あら、口下手なお父さんにしては
 上出来じゃないの

 お父さんはメイコのこと大切だもの
 伝えておきたいこと言えて良かった
 じゃない

 さあ、そうと決まればせっかくだし
 みんなでケーキ頂きましょうか

 ハルト、貴方も食べて行くでしょう?

 こっちにいらっしゃい」

愛情を上手に表に出せない人も居る。

「お父さん、ありがとう

 私、ケイジさんとジュン君と
 幸せになるね」

「ああ、今度は
 お子さんも連れて来なさい」

「はい」

私の家族と京次さんとで初めて過ごす時は、とても和やかに過ぎてゆく。

隣同士に座る食卓のテーブルの下、私達は触れ合う手と手をギュッと強く握りしめた。

誰にも見えないその場所で愛を誓い合うの。

私達の未来はうーんと明るいものになる!

「ところでケイジさんは
 お幾つなのかしら?

 ……

 え~、見えないわね
 お若いわ

 男の人は本当羨ましいわ
 
 お父さんもだけど私なんて
 鏡なんて見ていられないもの
 ……」

私の隣で照れて微笑む京次さんは、とても可愛らしく愛おしい。