「もう怖いじゃない、私よ、アンジュ
 
 やっと来てくれたのね
 
 待っていたのよ」

「何やってるんだ、接客はどうした?」

「いいのよ

 ママにはちゃんとお得意様が
 見えること伝えてあるから」

「フッ、誰がだよ、知らねえぞ

 相手が一円にもならない
 俺なんかで怒られても」

「大丈夫よ、その心配はないわ
 
 だって今日のところはお気に入りの
 私の為に、じゃんじゃんお金落として
 行ってくれるはずだもの

 ねえ、加瀬組の若頭さん?」

「よく言うぜ、誰がお気に入りだ
 
 自分で言ってて恥ずかしくないか?」

「どうして約束守って
 こうして会いに来てくれてるじゃない

 イズモ、私のこと好きでしょう?」

『イズモ……』

自信ありげな安寿、彼女はどこか昔の絢に似ているところがある。

「バカバカしい」

「まあいいわ

 今夜は帰さないから覚悟してちょうだい」

「来るんじゃなかったぜ」