深海魚Lover

お辞儀をして手を振った後、その場を去る華子。

彼女の後姿を見つめながら不意の出来事に戸惑い、その場に立ちつくしているのは一人前の立派な男……動転している。

華子が自分に好意を持っていることは出会った当初から分かっていたことだが、子供の頃からお世話になる書道の先生、師である堀之内先生の頼みを断ることができずに今に至る。

苦しい家計を切り盛りして、母親にたくさんの習い事をさせられていた幼少時代。

母親なき後、唯一続けていた書道が今は職となり、こうして路頭に迷うことなく潤司と共に生きていられる。

華子は今まで想いを行動に移すことは無かったので、京次はどこかで安心していた。

生徒である華子、彼女とは今後も付き合っていかなくてはならない。


『キョンさんってばモテモテだね
 やるぅ~』

「フウー、モテキ到来かよ

 なんて冗談にもならねえか」