深海魚Lover

京次さんの出雲さんに対して突き放したような言葉。

貴方は置いた受話器にその手を残したまま、じっと見つめる。

「……何、熱くなってる」

「ケイジさん
 
 どうかしましたか?」

「いやっ、たいしことじゃない
 
 ただのくだらない兄弟喧嘩
 よくあることだ

 長話してたら喉が渇いた
 スガちゃん、何か淹れてくれるか?」

「はい、今すぐ」


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ここは、場末のラブホテルではなく、場末の飲み屋。


流行らない場所にある薄汚れた質素な飲み屋には、客は出雲と女性の二人だけ。

カウンター席に隣同士に座る、静かな空間----

「どうしたの?
 さっきまでとは雰囲気が違うのね」

「どんな風に?」

「そうね、一人肩で風を切って颯爽と
 街を歩いてたあの強い貴方からは
 想像できない

 今のあなた、ご主人に怒られて
 しょげてる弱い犬みたいよ」

「弱い犬

 それが本当の俺だったら
 アンタは嫌か?」