深海魚Lover

「虐めぇ、誰が?
 ガキでもあるまいし」

電話中の京次さんの目つきが冷ややかになったと思ったら、今度は声色まで一段と低くなる。

「出雲、よく聞けよ
 おまえみたいな釣れねえ男相手に
 よく懲りずに慕い続けてくれるヤツ
 のこともっと大事にしてやれよ」

「大事にねぇ、そうは言われても
 男に慕われても嬉かねえよ
 こっちは迷惑してるんだ

 それに今、俺は忙しい」

「女と居てか?」

「ああ」

「おまえの人生だ
 おまえの好きに生きて構わない

 ただ、おまえのことを想ってくれてる
 人のこと、いい加減突き放してばかり
 いるのはやめろ
 
 他人の人生に向き合うのが嫌なら
 自分の都合のいい時だけ
 関わってんじゃねえぞ

 下のもんに気使わせて
 おまえは上に立つ人間に値しない

 おまえの出した答えは、正解だ
 
 じゃあな、邪魔したな」

ガチャンと音を立てて置かれた受話器。