深海魚Lover

「ケイジさん、洗い物は私が……」

「いいって、ここは俺に任せて
 そっちが片付いたなら
 先に風呂でもどうぞ」

「そうですか
 じゃあ、お言葉に甘えて」

「メイちゃん、ぼくもいっしょに
 おふろはいっちゃダメ?」

「いいよ、一緒に入ろう」

「おいおいっ!

 ジュンジのヤツめ」

恋のライバルは多い程燃えるとは言いますが、御身内はご勘弁頂きたい。

「ケイジさん
 ケイジさんもお風呂
 一緒にどうですか?」

「!」

驚いた京次は、洗っている途中のお椀をついシンクに落としそうになる。

泡のついたスポンジを手に持ち、真面目な顔つきの彼女に問うてみた。

「まさかそれが、さっきの答えとか?」

「はい、お背中流しますよ
 髪も洗いましょうか?」

それはそれでアリかもしれないと一瞬思った京次だったが、よくよく考えて丁重に今は忙しいとお断りした。

その調子で君に甘やかされ続けたら、俺はきっと堕落してしまうだろうから。

君なしでは生きられなくなるだろうから。