深海魚Lover

「キョンさん
 
 キョンさんってば
 もういいよね?」

「ああ、待って!

 ひとつだけ約束できるか?」

「なにを?」

「出雲が来てたことを俺達が
 知ってること

 しー、内緒にしておこう」

唇の前で人差し指を立てる、京次。

「どうして?」

「それは、そう
 ゲームだからだ
 
 言ったら負けだぞ」

「オッケー
 ぼく、いわないよ」

「良し

 じゃあ、行っていいぞ」

荷物を持って車から降りる京次は、車の鍵を閉めた。
潤司は駆けて、もう家の前まで辿り着いている。

そして、引き戸を思いっきり開ける----ガラガラガラ。

「メイちゃん

 ただいま~」

「おかえりなさい、ジュン君

 保育園どうだった?」

「とってもたのしかったよぅ
 
 メイちゃん、ぼくねぇ
 おなかすいた」

「そうだね、もうこんな時間
 すぐにご飯にしましょうね

 あっ、ケイジさん!

 おかえりなさい」

「ただいま」