深海魚Lover

すると貴方は、またあの日のように片方だけ眉を上げては悪戯に微笑んでみせた。


ドキンドキン!と高鳴る胸は恋を知ったばかりの、あの懐かしい感覚。


そして貴方の手が伸びて、またあの日のように私の頭を優しく撫でてくれた。


撫でられた部分に、ズシッとあるのは人の重みと温もり。


私は今、深海に戻る事よりも貴方の傍に居たいと思った。


私は、貴方に恋しちゃったみたい!


「そうと決まれば、真面目にやれよ
 スガ先生

 俺、アンタの絵知ってるよ」

「本当ですか!?」

「ああ、息子が大好きでね」

「む、すこ……?」


貴方への恋心は、呆気なく消える?

貴方の左手、その薬指には指輪は見当たらない。

この恋心、消さなきゃいけない?


----その時だった、引き戸が開く音が聞こえた。

ガラガラガラ……扉が開くとそこに現れたのは、小さな男の子。

貴方の元へと一目散に駆け寄って来ては足元に纏わりつき、さっきの私のように貴方に頭を撫でてもらっている。