深海魚Lover

「でも、イズモさん?」

「お前さ、案外悪趣味だな

 今の俺なんて見てどうする?
 
 見る価値無いぜ」

「イズモさん、どうかしたんですか?」

「どうもしねえ
 
 けど、もうしばらくでいい
 このままで居させてくれ」

「はい」

出雲さんの、そのか細い声で頼まれては仕方がない。

彼が落ち着くまで----

私はその場に立ちつくしたまま、出雲さんから離れてくれるその時を待ってた。

「悪かったな」

それだけ言ってこの家を出て行こうとした出雲さん。

ガラガラガラ----

引き戸に手をかけたまま、彼は背中越しに言う。

「お嬢ちゃん

 キョンには黙っててよ」

「イズモさん……」