-----ここは、井原家のキッチン
昔ながらの台所と呼んだ方がベストかもしれないけれど、大好きな居場所のひとつ。
食器乾燥機には、洗い終えたカップが二つと小皿が置かれている。
火のついていないガスレンジにはフライパンが置かれ蓋がされている。
その隣にはお味噌汁、そして冷蔵庫の中にはラップされたサラダにキュウリの酢の物、お漬物……
雛田さんが帰った後、急ピッチで夕食の準備を済ませ、やっと手が空いた私は雛田さんから貰った林檎の中から最も赤いものを選んで奥様・絢さんにお供えする。
ゆっくりと閉める部屋の扉----
明かりの灯らないこの部屋では林檎は赤黒く見える。
それは、まるで毒林檎のように黒く……
ガラガラガラ----
長くて暗い廊下、一番奥の部屋の前に立つ私にまで聞こえた引き戸の音に振り返る。
「おかえりなさい、ケイ……」
暗闇の中に揺れる長い髪
愛しきシルエット……
昔ながらの台所と呼んだ方がベストかもしれないけれど、大好きな居場所のひとつ。
食器乾燥機には、洗い終えたカップが二つと小皿が置かれている。
火のついていないガスレンジにはフライパンが置かれ蓋がされている。
その隣にはお味噌汁、そして冷蔵庫の中にはラップされたサラダにキュウリの酢の物、お漬物……
雛田さんが帰った後、急ピッチで夕食の準備を済ませ、やっと手が空いた私は雛田さんから貰った林檎の中から最も赤いものを選んで奥様・絢さんにお供えする。
ゆっくりと閉める部屋の扉----
明かりの灯らないこの部屋では林檎は赤黒く見える。
それは、まるで毒林檎のように黒く……
ガラガラガラ----
長くて暗い廊下、一番奥の部屋の前に立つ私にまで聞こえた引き戸の音に振り返る。
「おかえりなさい、ケイ……」
暗闇の中に揺れる長い髪
愛しきシルエット……


