深海魚Lover

バタンと勢いよく閉まるドアの音を聞きながら、一人考え事をしている峰。

『私も彼には興味があります』


「出雲のボンに興味がねぇ~」



朝昼夜とで全く違う顔を持つ、繁華街----

夜の顔は、どこかムリに明るく振舞ってはいる、そんな感じ。

人が行き交う街並みを、グイグイと肩で風を切りながら歩く出雲。

その後をついて行くのがやっとの充。


「アニキ、イズモのアニキ
 ちょっ、待ってくださいよぅ

 そんなに早く歩かないでくださいよ」


充の声と共にピタッと動きを止めて、その場に立ち止まる出雲は何かを考えている様子。

やっと追いついた充は言う。


「アニキ、さっきの話、本気なんですか?

 シナガワ如きには遣られないって
 以前話してたじゃないですか

 それなのにヤツに組を譲るだなんて……」

「ツル
 
 おまえ、もう帰れ」