深海魚Lover

四奈川からスマホを受け取った楼は使う事を少し戸惑っている。

「こうですよ」

「ああ……
 もしもし、代わりました」

「お父さん、私、蓉子(ヨウコ)だけど
 いつになったら会いに来てくれる
 つもり?」

「ヨウコ

 すまなかった……」

「謝罪なら会った時に聞くわ
 
 それより、お母さんのお墓にも
 挨拶はまだなんでしょう?

 明日、案内するわ
 一緒に行こう」

「ああ、すまない」

久しぶりに聞く我が子の声……

刑に服している間に妻を亡くした楼、どこにも身寄りのない娘・蓉子は過去に峰の援助を受けて生活を送っていた。

帰らない父を待ちながら一人暮らす日々、そんな蓉子の様子を父親代わりとなって何度と見に来ていた峰。

彼が年頃の娘に手を出さない訳はなく、二人はしばしの間、深い関係を持っていた時期があった。