深海魚Lover

下っ端の男に言いように言われて頭に来ない奴はいない。

ここで一線交えるつもり……

男達は皆、鬼のような形相になる。


「兄貴、ちょっと待ってよ
 先に喧嘩を売られたのは、この俺
 
 みんなも、そう熱くなるなって」

「しかしっ!」

「カシラ?」


出雲は何も語ることなく一歩一歩、四奈川へと近づく。

縮まる二人の距離、緊迫した空気の中で互いに睨みを利かせる。

先に胸ぐらを掴んだのは四奈川。


「なんだ、やるのか?

 おもしろい」

「ちっともおもしろくなんかねえよ
 
 そんなに組が欲しいなら
 おまえにやるよ」

「カシラッ!?」


四奈川の頬を手の甲で軽くポンポンと叩きながら、出雲は言う。


「のしつけてくれてやる」

「おまえ、人のこと
 バカにしてるのか?」