深海魚Lover

大きな声で必死になって答えてしまった私は、手で口元を押さえた。


「そうなの?

 まあ、どうでもいいけど

 どっか空いてるところ座って」

「お二人は、その
 初対面ではないようですね」


畳に直接座る下山さんの隣に、私は座った。


そもそも、ここへ来る事になったのは、絵本の件を私にはできないと丁寧に断った結果、作家さんにアドバイスを受けながらの共同作業ではどうかと言う話が担当者である下山さんの方で勝手にどんどん進められて、こうして作家さんに会いに行かざるおえなくなってしまい、私は仕方なくここへ来たわけで。

まさか、その作家さんがあの男性だったとは……

あれっ!男性はやくざ家業さんじゃないの?


髪を掻きあげると厳つい顔つきは健在だ。

それにこのお家は、何処をどう見ても全てやくざ映画に出てきそうな感じなんですけど。


下山さんいわく、男性は柄にも無く有名な書道家・詩人・絵本作家さんでいらして、私などがコラボレーションして頂ける存在の人ではないことを知った。

墨で書かれた意味不明な字は、書道家である男性が書いたもの。

書道家と言われて作品を見ると、何とも違って見えるから不思議。