静かな時の中で一人きり----

私は明かりを点けることも忘れてテーブルに向かい、夢中で絵を描いている。

頭の中に浮かんだ世界そのままに、消えて忘れてしまうその前に紙に表す。

息つく暇もなく、ただペンを走らせてゆく。

集中が途切れるその時まで、私はずっと絵を描き続ける。


薄暗い手元……私は思い出したように時計を見た。

時刻は16時を過ぎる----


「あっ!
 洗濯物取り込まなくちゃ」


慌てて庭に出て今朝干した洗濯物を取り込む途中、私は空を見上げる。

近頃は陽が沈むのがうーんと早くなり、この時刻、西の空に夕暮れが広がる。

ゆっくりじんわりと濃くなる、赤空----それを見るのが私の日課。


「今日もきれい

 寒くなって来たわ」


陽は沈みゆき、辺りはこの季節本来の冷たい空気が流れる。

私は洗濯物を持って室内に入るとパチンと電気をつけた。

暖かな光は、テーブルの上に置かれたままの絵を照らす。

その絵は、もちろん赤色が主役。