深海魚Lover

「わかったら、よろしい!」


「やめてください」


あまりにも近づき過ぎる距離に、私はつい言ってしまった。


「これ以上、近づかれるのは
 
 困ります」


お辞儀をした私は急いでその場を立ち去った。


振り返る事もない私の背中を見つめる男性に悪い事をしたと思ったのは家に着いてからだった。

あんな風に逃げ出して、男性はきっと少年と同じように男性の事が怖くて私が逃げ出したと思ってるはず。


本当は違うのに……


「ハァハァ」


荷物を玄関に置いた私は、靴も脱がずに立ち尽くす。


私は、人と深く関わり合いを持ちたくない!

人を信じ、誰かを愛するだなんてこと、これぽっちも望んでない!

何もかも全て、面倒だったはず!

それなのに、私はあの時、男性の事がものすごく気になった。

私の頭に触れた男性の事が気になって気になって、これ以上、私の領域に近づかれるのを困ると思った。

好きになるような気がしたから、私は逃げた……?


「違う違う!」