『失礼します。』 静まり返った図書室に、自分の声だけが響く。 やっぱり落ち着くなぁ、なんて思いながら見慣れた本棚の本に手をかける。 (また逆さまになってる……。) 最近の私の悩み。 この図書室で一番借りられたことのない本が、毎日逆さまになっていること。 潔癖性ではないが、何故か気になってしまう。 これを直すためだけに図書室に来ていると言っても過言ではない。