「……もう終わりにしよう。君は俺とじゃ幸せになれないから」


結花ちゃんの顔を真っ直ぐに見れずに視線を逸らした俺は、一方的にそう告げると席を立った。


「薫くんっ!」


立ち去る俺の背中を結花ちゃんが必死に呼び止める。
だけどそれに振り向くことは俺にはもうできない。


ぐらぐらに揺れている気持ちのまま、俺は結花ちゃんを残してカフェを後にした。









この時、愚かな俺は気付いていなかった。




嫌がらせに負けないと言った結花ちゃんを何よりも傷つけていたのが、俺自身の言葉だということに。