そんな自分でもよくわからない感情に戸惑う俺に帰宅して告げられた母親からの報告は、別の種類の戸惑いを与えた。



「……え、佐知(さち)が帰ってくるの?」


「そうよ。来月帰国するって電話があったわ。2年ぶりだから薫も嬉しいでしょ」


「……そうだね」





母が突然告げた佐知…姉の帰国は、俺に暗い闇を思い出させるものだった。



結花ちゃんと一緒にいて温かくなっていた心がサッと氷のように冷たくなって。










俺は一瞬で囚われた闇の中へ堕ちていくような気がした。