「本郷さんも結花と“家族”になりたいと思っているんでしょう?だからふたば園に足を運んでいるんですよね?」


「あぁ……私は結花ちゃんが許してくれるのなら、結花ちゃんの“家族”になりたいと願っている。失くしたものを取り戻すことは難しくても、これから新しく築いていきたいと思っているよ」


本郷さんは真剣な表情で俺を真っ直ぐに見て、強い気持ちを込めたような声でそう言った。
その言葉に俺はホッとした。
やっぱりこの人は結花を自分の娘としてちゃんと愛しているのだと改めて思えた。


「薫くんの言う通り、もう一度きちんと結花ちゃんと向き合って話し合いたい。結花ちゃんが不安に思っていることを取り除けるように、何でも話すよ」


「だったら、その手助けを俺にさせて下さい」


本郷さんに負けないくらい真剣な顔でそう言った俺に本郷さんは静かに頷いてくれた。


頷いた本郷さんの顔にはもうさっきまでの不安そうな色は微塵もなかった。