「薫くんは結花ちゃんのことが本当に大切なんだね」


「はい。こんな風に誰かを想うのは結花が初めてです。大切で……こんなにも好きだと思うのは結花だけです」


彼女の父親である本郷さんにこんなことを言うのは、正直照れるところもあるけど、でもそれが俺の本心だ。
それに彼女の父親だからこそ、俺の正直な気持ちを包み隠さず見てほしいと思う。


俺がどんなに結花を好きで、大切に思っているのかを知ってほしい。
俺が結花とこれからずっと一緒にいたいと思っていることを認めてほしい。
そういう気持ちが心の奥にあるのも事実だ。


「結花は俺を救ってくれました。だから今度は俺が結花の力になりたいんです。結花は何も言わないけど、“家族”が欲しくないわけじゃない。むしろ逆だと思います。だから俺は本郷さんに結花と向き合ってもらいたいんです。今、結花の家族になれるのは本郷さんだけですから」


いつかは俺が結花の“家族”になりたいと思う。
だけどそれは今すぐには無理だから。
何より、手を伸ばせばそこに結花の“家族”になれる人がいるんだ。



それに本郷さんだって……