「……そうか……とても可愛らしい彼女だね。二人は付き合って長いのかな?」
本郷さんは小さく溜息を吐くと、自然なトーンで何気なく薫くんに訊ねた。
だけどその何気なさの中に少しだけ感じる、試すような雰囲気があった。
「まだ4か月くらいですが、付き合った期間云々ではなく、結花は俺にとってとても大切な最愛の彼女です」
薫くんもその雰囲気を感じ取ったのか、真っ直ぐした声ではっきりとそう言い切ってくれて、俯いたままの私はギュッと心臓が掴まれたように痛んで涙が滲みそうになった。
「……ずいぶんと惚れ込んでいるんだね。でもそう思える相手に出逢えたことは幸せなことだと思うよ。江本さん、薫くんも立派になりましたね」
本郷さんは薫くんの言葉を聞いて、柔らかい口調でそう言った。
『そう思える相手に出逢えたことは幸せなこと』
その言葉が私の聞きにこびりつくように残って、本郷さんがどんな気持ちでその言葉を言ったのか、それを考えると胸がキリキリと痛んだ。
「はははっ、本当に。薫がこんなことを言うようになるとは、思ってもいませんでしたが。薫がそう思えるお嬢さんと出逢えたことは親として嬉しいことです。結花さん、これからも薫のことを頼むよ」
「……はい、私の方こそ……よろしくお願いします」
俯いたままでいてはいけないと、私はおじさまの言葉に顔を上げて何とか笑顔を作って答えた。

