僕のonly princess


***


毎日うんざりするほどの暑さの中、今は夏休み真っ最中。
もう8月も後半だから、あと少しでお休みも終わる。


今年の夏休みは今までの中で一番、楽しくて幸せなお休みだった。


薫くんと一緒に勉強したり、デートをしたり……とにかく薫くんと一緒にたくさんの時間を過ごしていた。


そして今日は、薫くんと初めて水族館へ行く。
いつも近場で会うことが多い私達だけど、薫くんからせっかくの夏休みだからちょっと遠出しようと言ってくれて。
薫くんから行きたい場所を聞かれて、水族館へ行きたいとお願いしたら、笑顔でOKしてくれた。


約束した日からずっと楽しみだった私は、薫くんに少しでも可愛いと思ってもらえるようにいつもよりも念入りに準備をした。


薫くんは通り過ぎる女の人が振り向くほどかっこいい男の子で。
今までどんなに薫くんがモテる人なのかは、私もよく知っている。
薫くんとお付き合いしたくて色んな女の子が狙っていた。
ううん、きっと今でもそういう人はいっぱいいる。


薫くんを見つめる女の子達からすれば、横に並ぶ私なんて不釣り合いだと思っているだろう。
だけど薫くんは私を選んでくれたんだから。
少しでも薫くんに似合う女の子になれるように、努力したいと思うのは……ダメなことじゃないよね?


鏡に映る自分の姿を見つめながら、私は自分に言い聞かすように小さく頷いて、部屋を出た。