もうずっと続けてきた当たり前の朝。
でもこれは誰にとっても当たり前ということではないと、わかっている。
私や勇也、このふたば園のみんなにとっては当たり前の日常も、他の人にとってはそうではない。
それを卑下しているつもりはない。
これが当たり前の私達には、自然なことで何も特別だとは思わない。
だけど、こんな自分を大切な人に曝け出せない私がいる。
他の人に知られても、何を言われても今までの私はそれを受け入れてきたし、気にしたりもしなかった。
でも薫くんにはどうしてか、今の私の毎日を知られたくないと思う自分がいる。
その理由も自分ではよくわからない。
色んなことがあって、すれ違っていた薫くんとの関係が修復されて、前よりもずっと幸せな毎日が送れている。
私が一方的に好きだと思っていたのに、あの薫くんから『好きだ』と言ってもらえて、信じられないくらいに大切にしてもらっている。
本当に幸せ。
だけど、薫くんに隠し事をしている自分自身に苦しさも感じていた。
デートするたびに家まで送ると言ってくれる薫くんに、色んな言い訳を付けて断る度にその苦しさは増していた。

