「はぁ………」


毎日、何度も何度もスマホを見ては、溜息を吐く。


結花ちゃんからメールが来てないか。
着信はないか。


何度見ても、結花ちゃんからの音沙汰はない。


会いに行こうか?
でも俺が会いに行ってまた迷惑をかけるかもしれない。


もう理穂子ちゃん達から嫌がらせはされていないだろうか?
あの時の理穂子ちゃんの様子では、もう結花ちゃんに手出しするようには思えなかった。
俺の脅しも効いていそうだったし。
それでも心配は拭いきれない。


俺の手で今度こと守ってあげたいのに、もう俺にはその資格はないのだろうか……



「薫、また溜息?最近ずっとそんな調子だな」


昼休み、今日は忠が風邪で休んでいるため、吾郎と二人きりで弁当を食べていた。
暇ができるとスマホをチャックして、溜息を吐くのが癖のようになっていた俺に、吾郎は心配そうな真面目な顔で話しかけてきた。


「……ああ、ごめん」


吾郎が心配してくれているのが申し訳なくて、俺は何の反応もないスマホを制服のポケットにしまいながら、呟くように謝った。


「例の彼女と何かあった?」


「……」


吾郎の言う『例の彼女』が誰のことを示しているのか計りかねて、黙ってしまった俺に吾郎は真面目な顔のまま話を続けた。


「ほら、前にうちの学校まで吾郎に会いに来た清稜の女の子。あの子が薫の本命だろ?」


「……え?」


まったく予想していなかった吾郎の発言に、俺は目を丸くして固まった。