でも、結花ちゃんはその俺の手を振り払うように立ち上がって、涙で濡れる顔を苦しげに歪ませるともう一度、「ごめんなさい」と謝って、俺の前から走り去ってしまった。


突然のことに一瞬、結花ちゃんを引き留める手が遅れた。


「結花ちゃんっ!」


あっという間に走り去った結花ちゃんを呼び止めるけれど、結花ちゃんは立ち止まってくれない。
俺もその後を必死に追いかける。
だけど、俺が広場から出た時には結花ちゃんの姿は見えなくなっていた。


視界から消えるほどの時間は経っていないはずなのに、どこに行ったんだろう?
あんな状態の結花ちゃんを一人にしておくのが心配で。
なぜかこのまま会えなくなるような得体のしれない不安が俺を支配していた。







その後……


いくら探しても結花ちゃんを見つけることはできなかった。