Side Shot プレアデス国王

18年前,ルナとソフィアが生まれた。しかし,我が国では不吉な出来事の素とされている双子。私は一国の王としてまず,国の事を考えねばならぬ身。

かわいそうだが,始末をしなければならない。だが,2人ともかわいい我が娘だ。
王妃付きの女官・エレオノーラの勧めもあり,姉のルナを白の離宮へ隠すことにした。


そして,ソフィアが14歳になったとき,ルナが士官学校入学を希望していると言うのだ。
士官学校卒業後,ルナはソフィア付きの護衛士官として王宮に伺候するようになった。
16年振りに見る我が子。娘は,王妃に,そしてソフィアそっくりの美しい少女に成長していた。
だが,少し違うところがある。隠された存在であるがゆえなのか,どこか冷たい雰囲気を纏っていた。

父親として振る舞いたかった。だのに,隠された存在だからそれが許されない。
声を掛けてやりたかった。
その思いが露呈するのを恐れてルナにそっけなくしていた。おそらくひどい父親だと思われているだろう。
本当に,かわいそうなことをしてしまった。忌まわしい規則など無視してでも,あの娘を王女として側に置きたかった。
あの娘をどう扱ってよいのだろう?王妃は今からでも,王宮に呼び寄せたいと言っている。

どうしたものかな…。
やはり,隠された存在になどしなければよかった。
深い後悔が,私を襲う。