なんて読むのかな……。
春の、え、えい、えい……?
チケットと睨み合っていると、なるみちゃんの手がゆっくり離れていく。
「エイゴ展って言うの。駅前のね?ギャラリーでやってるんだ。行ってくれるでしょ?」
「あたしに……?でもどうして、」
そう言いかけたあたしに、なるみちゃんは花のような儚い笑顔を零した。
それからあたしは、言われるがままそのチケットに書かれてる場所へ向かった。
えっと……このあたり、かな?
あ、ここだ。
それはすぐにわかった。
たくさんの人で溢れていたから。
それでもなんだか敷居が高そうで、あたしは入り口でオロオロしてしまった。
ようやく中に入れた時には、少し人の波が少なくなった頃だった。
「わぁ、すごい……」
それは、絵画展だった。
薄暗いスペースにスポットライトが当たるように、様々な絵が閲覧されていた。
ゆっくり、ゆっくりと見て回る。
胸を焦がすような、油絵の匂いになんだか泣きそうになってしまった。



