桜雨、ふわり。



「えっと……それは、もう、しない」



迷惑、なんだよね。

それに……進路の事もあるし……。

忙しくなるし……。



繋がれたままの手。

初めて、触れ合った手。


森崎くんの手は、大きくて、ちょっとだけヒンヤリしてて。
近くにいると、油絵の匂いがした。

なんだか、泣きそうになってる自分がいて、それがバレないようにキュッと下唇を噛んだ。


俯いていると、小さなため息。

恐る恐る顔を上げる。


それでも、太陽を背に従えた森崎くんの顔ははっきりわからなくて。
そのシルエットだけが、浮かび上がって見えた。




「……探されても困るし、探されなくても困る」

「え?」



それって、どういう意味?

掠れた声が、あたしの体を熱くする。

トクントクンって、鼓動が速くなる。


森崎くんは、キュッとつないだ手に力を込めると、少しためらいながら言った。




「だから、それならいっそ、会いに来てよ」