気が付けば辺りは真っ暗で

蛍光灯の光がやけに白く感じる



寒さに体を震わせた


その時だった
私を呼ぶ声が聞こえたの


「りょ…う?!」

顔をあげる


立っているのは

私の好きな人



「モト兄…。」


顔を見たら一気に緊張して冷えた体がさらにこわばってしまう


ゆっくり近づくモト兄


「あ、あのね…私っ…―。」

次の瞬間には
私はモト兄に包まれていた

暖かい温もりが
私の心に染み渡る


「ごめん!」


私よりも先に謝るモト兄


違うよ
謝るのは私だよ


「モト…」

「俺、何処かで安心してたんだ。
りょうは俺から離れない。お互いに信じあってる。
なんて、勝手に思い込んでて…りょうの気持ち考えることができなかった。

あの日から
なにやってもダメで…

いつも
りょうの事考えてた。


本当は…すぐに会いに行きたかったけど、それもできない事情が重なって


だから
あんなことをしたんだ。


公の場であんなこと言って迷惑だったかもしれな…」


「迷惑なんかじゃない!」


モト兄の首に手を回す

そして
絡まる視線


「嬉しかったよ。
テレビは嫌いだって言ってたのに…私の為にあんなことをしてくれた。

本当に嬉しかったよ…。

私の方こそ…ごめんなさい。モト兄の話しも聞かないで勝手に勘違いして…
酷いこと言った。
ごめんなさい。」


モト兄の腕がきつく締まった


「りょう…好きだ。
もう、一人にしないでくれ…―。」


切ない声に胸が熱くなった

一人にしないよ


もう
離れないよ


離れられないよ


「私もモト兄が好き。
離れたくない。」


幼い頃に交わした約束を実行するよ


「りょうがずっと傍にいてあげる。」