カラオケに行かないのですか?
そう聞かれ、一瞬、どう答えるべきか考えたが素直に話す事にした・・
「歌は好きなんですが、どうも、あの手のみんなと一緒にいる事が苦手でして・・」
そんな僕の言葉に・・・
佐藤さんは、「実は私もなんです!」と微笑んだ・・・
「ところで、坂本さんは何をされているんですか?」
「え・・いや!あの・・実は、こう言う合コンって大体、1時間もすると皆、カラオケに行ってしまうんです!予約って2時間の飲み放題でしてるのに!それにほとんど、皆、料理に手をつけないんですよね・・なんか、もったいないと思って・・・
だから、カラオケに行かない代わりに一人残って、料理と酒を堪能させていただいているんです!」
一瞬、そう言いながら、佐藤さんの顔を見た・・
軽蔑されただろうか?セコイやつとか思われたかな!
でも、本当にそうなんだ!料理は人間に食べてもらうためにこの世に誕生したんだ!それなのに、誰の口にも入れてもらえずに消えてしまうなんて・・
可哀想だと僕は思う・・・
「確かに!もったいないですよね!それに・・こんなに残されて料理が可哀想・・」
僕はそんな佐藤さんの言葉に一瞬、驚いた・・
「そ・・そうでしょ!あっ・・そろそろ戻らないと!皆が心配してますよ!カラオケ屋の場所はわかりますか?」
そんな僕の言葉に佐藤さんは言った・・
「実は、私は、カラオケには行かなかったんです。明日、早朝会議があるもので・・
まぁ~それは建前的な言い訳で、実は私もどうも、あの手の集まりが苦手で・・
今夜も、実は友達の代役で無理やりに・・・あの・・良かったら、私もご一緒してよいですか?実は、私、大食いでして・・本当は今夜のここの料理、結構楽しみに来たんですが、順子・・あ!本田さんに、大食いは禁止されてまして!それに、私、ワインよりビールが大好きなんです!」
そう言いうながら微笑み佐藤さんを見つめながら・・これはきっと、夢なんだ思った!
そして、もしも、これが夢ではなく現実の話だとしたら・・・
なんとも厄介な時間を神様は僕に与えたものだと・・・少しだけ神様を恨んだ!
「えっ・・別に良いですよ!」
「そうですか!なら、お言葉に甘えて・・・」
「ビールで良いですか???」
「ええ・・お願いします・・・」
「なら・・乾杯!!!」
「えっ??な・・何にですか???」
「二人の偶然の出会いに・・・」
そう言いながら佐藤さんは僕のグラスに自分のグラスを重ねた・・