「俺!佐藤さんな!良いな!解ってるな!!」
加藤が同僚の二人にネンを押すようにそう言った!
「坂本はどうする?行くか??たまには行こうぜ!同じ旅行代理店関係だろ?案外、話が合うかもしれないぜ!」
加藤はそう気を利かせたかのように言った。
「いいや・・俺は遠慮しておくよ!何時のように残食処理して帰るから・・」
大体、こんな感じの合コンは2時間、料理&飲み放題のプランが支流である、
今回も飲み放題付いている。そして、何時ものパターンと同じで大量の料理が残っている・・
僕は加藤たちがカラオケに向った後に必ず残った料理をつまみに一時間ほど飲んで帰る・・・
気を使いながら女性と歌を歌いに行くよりも本でも読みながら美味い料理をつまみにビールを飲んでいる方が何倍も僕にとっては幸せな時間なのだ・・
「坂本!そんじゃ、最後に会計を・・」
加藤はそう言いながら僕に3万円を私で彼女達とカラオケに向った・・・
誰も居なくなったのを確認すると僕は内線で生ビールを注文する。
そしてビールが届くとタバコに火をつける・・・
ビールを一気に飲み干し、タバコを数回ふかす瞬間が実にたまらない・・・
女性の前ではタバコは禁止だと加藤に何度もネンを入れて言われておるのでヘビースモカーの僕にとっては実に辛い一時間なのだ・・・
僕は一息つくと2杯目のビールを注文して鞄から読みかけの文庫本を取出した。
ガラッ!いきなり戸が開いた・・・
僕はタバコを加えたまま、ドアの方を凝視し・・・
そして、そこに立っている女性を見て一瞬、硬直した・・・
「あっ・・いや・・すいません!たばこ・・・あ・・あれ?か・・カラオケに行かれたのでは????」
そんな僕の言葉に彼女は言った・・・
「あっ・・ごめんなさい!私、忘れ物を・・」
佐藤今日子はそう少しだけばつが悪そうに言った・・・
佐藤さんはそう言うと自分が先ほどまで座っていた席に向った・・
「あっ!良かった!!あった・・」
そう言いながら、テーブルのしたから一台の携帯電話を取出す。
「私・・本当にそそっかしくて・・」
そう言いながら・・微笑んだ顔に・・僕は一瞬だけドキッ!とした・・
「坂本さんは行かなかったですか?カラオケ・・・」
僕はそんな佐藤さんの言葉に直ぐに答えられないほど・・緊張していた。