三角りんご

「はい、これ。お母さんから。」
「うわー、美味しそう、チョコケーキだね、俺大好き。」
「う、うん。」

少しだけぎこちなく会話してしまう。
だって、悠埜と仲良くしたらわたしのハッピー高校生ライフがなくなっちゃうんだもん。
ここは心を鬼にして!!


「で?どうしたの?」
「え。?」
「なんか、おかしいから、なんかあったのかな?って」


やっぱり悠埜には隠し事は出来ないな…。
よし!悠埜にはちゃんと報告しておこう!

「あのね、今日未弥ちゃんにおかしいって言われたっていったでしょ?」

悠埜はわたしに背中を向けてチョコケーキを早速台所で切っている。

「…未弥ちゃんにこのままじゃあんた彼氏できないわよ。って言われたの。」


悠埜は小さく頷いて「それで?」と言う。

「わたしにはよく分からないけど、やっぱりおかしいのかなって、わたし彼氏欲しいし、悠埜と春汰と仲良くし過ぎないようにしようと思って…」


悠埜のケーキを切る手は止まり、
わたしを見る。


「それで?」


悠埜は少しさみしそうに先を促す。


「だから…明日からね、皆で登下校するのはやめよ?」

悠埜は少し驚くだけで何も言わない。

「お家だって、ちゃんとチャイム押すし、休日も遊ばないから。」


恐る恐る悠埜の顔を見る。
悠埜は優しく笑って「そっか。」と言った。

「うん、しょうがないよね。俺らだってそろそろ自分達で恋をする時期だよ。」

悠埜…!!
やっぱり悠埜はわたしのことわかってくれてる!!!

「じゃあっ…!」

バンッ

そう言いかけたわたしの横には悠埜の手。
後ろには壁。

悠埜の顔が少し近づく。

「じゃあ、俺と真春が付き合えばいいんじゃない?」

にっこりとそういった悠埜の顔がどんどん近づく。

え…?
悠埜は冗談でもこんなことしない。
これっていわゆる壁ドン?

そして、わたしの愛読している少女漫画ではこの先の展開は…

キスされる。


「俺たちの関係がおかしいのか教えてあげる。」
「え…?」

悠埜の息が耳にかかる。

「俺がキスしたらもう、俺たちは幼なじみじゃない。」


もう…幼なじみじゃない?


近づく悠埜の顔を拒めない。

「にげる?逃げてもいいよ。」

逃げても…いい…?
そんな軽い気持ちで今悠埜はわたしにキスしようとしてるのかな?

「悠埜…?」

「春汰には内緒だよ?」