「真春ー、ちょっとお母さんケーキ作りすぎちゃったから、悠埜くんに持って行って。」

お母さんの手には美味しそうなチョコケーキ。

「春汰は甘いの苦手だもんね、わかったー。」

靴を履いて家を出ると、少しだけ冷たい風がわたしの髪を撫でた。

『あんた達本当おかしいわよ?』
『もう少ししたら分かると思うよ。』

未弥ちゃんと悠埜の言った言葉が頭をよぎる。
何がおかしいんだろう?
わたしはおかしいのかな?

んー、考えても考えてもわからない。
やっぱり普通だよ。

『あんたこのままじゃ彼氏できないわよ。』


はっ!
大事なことを思い出した!
わたし…
このままじゃ彼氏が出来なくなるらしい。
春汰と悠埜と仲良くし過ぎないようにしなくちゃ…
もう高校生だもん!彼氏とラブラブしたいよ!

家からわずか1分で悠埜の家に到着。
いつもだったらノックもせずに入るけど…


『彼氏できないわよ。』

未弥ちゃんに言われた言葉が頭に響く。

ピーンポーン

久しぶりに聞いた悠埜の家のチャイム。
チャイムなんて鳴らすの小学校1年以来だからなんだか緊張する!!

「はーい。」

悠埜の声が聞こえて、ガチャと扉が開く。
扉を開けた瞬間悠埜は驚いた顔で
「え、真春?どうしたの?」
えへへ、と笑うわたしを悠埜は不思議そうに見て首をかしげた。