「ねぇねぇ!春汰!悠埜!みてみてー!

2人の前で新しい桜ヶ丘高校の制服を着て一回転。
くるりと赤いチェックのスカートが舞う。

「この制服がずっと着たかったんだよね〜!」


「うん、すごく似合ってるよ、真春」

そう言って微笑むのは悠埜。
いつも優しいお兄ちゃんみたいな存在。

「スカート短すぎだろ、太い足誰に見せるんだよ笑」

そう言ってバカ笑いするのは春汰。
こいつはいつも私をバカにする悪魔みたいな存在。

「あ、もうすぐ行かなきゃ電車に乗り遅れるよ。」

そう言って悠埜が私たちに見せた黒色の腕時計が示す時間は7時半。

「きゃ!ーーー
もうこんな時間!!!
早く行こうーー!!」

私はそう言って2人の手を握って走る。

「ちょっ、おい!おまっ、こける、」
そんなこと言いながらも春汰の手は私の手をギュッと握る。

悠埜は何も言わずに私の手を優しく握る。

いつまでもずっと続くと思ってた。
こうやって2人と過ごす楽しい日々が。

私は何にも知らなかった。

小さい頃からいた2人。
幼なじみのこの2人。
いつの間にか2人は私よりもうんと、大人で。

この並んだ背丈はこれからバラバラになることにすら気づいてないわたしはバカだったのかな。

甘い甘い恋の味すらわからない
こんなわたしがバカだったのかな。