「教室入んないの?」
「っ……!」

真後ろから声をかけられて、体がビクッと反応してしまう。

「あ、ゴメン。驚かせた?」

申し訳なさそうな声でそう言われて、慌てて振り返り何か言うとしたときだった。

「あ」

声をかけてきた相手を知ったとき、思わず言葉に詰まってしまった。

「どうかした?」

不思議そうな表情で問いかけてくるーー柏木君。

そう認識しただけで上がる体温。

動揺した私は、何を言ったらいいのか分からなくて、気づけばその場から逃げ出していた。