俺はこの相談を聞いたとき、

自分と重ねたんだ

あ、こいつも同じ思いしてるんだって。

好きなやつに相手にされず、悩んでるんだって。

だから俺はるりの提案に…

『ねぇ、寂しいもの同士、慰めあおうよ』

のってしまったんだー…。



今考えればなんてばかなことをしたんだって思う。




…二度目があったのは、

俺があの現場を見てしまったとき。

久しぶりに和泉の家にいってみると、

和泉を抱き締めている男がいた。

その男は俺の何倍もイケてて、

きっと、強いんだろう。

いつもならきっと引き剥がすのに、


そのときは足がすくんでしまったんだ。

……認めたくはないけど、

あのとき俺はあの男から逃げたんだ。

和泉があの男を慕っているという事実からも。

わかってしまったから。

抱き締められている時の顔が、

俺の見たことのない、女の顔だったから。


それでも、それを認めたくなかった。


そして今日、和泉が転校してきた。


俺は和泉が同じ学校にいることで優越感を覚えてた。

でも、そんなのは簡単に打ち砕かれた。


和泉は話した。

嬉しそうに、あと男と同居してると。

二人だけではないにしても、

遥かに俺といる時間の方が短い。

それでも、希望は捨てきれなかった。

学校にいるときだけは…

俺の…俺たちのものだって。


そう、考えてたのに。

自販機のところにいた男、

髪型も雰囲気も全然違ったけど、


あれは絶対にあの男だ。

俺を牽制するような目付き、

忘れるはずがない。

俺がはじめて味わった敗北なんだから。

まさか、学校にいるとは思わなかった。

これでもう、独占することができないんだって、

そう考えてしまったんだ。

たくさん悩んだ結果、

気づいたら前と同じことしてた。

ルリを抱いてた。