「…っ!」
龍之介さんは私と目を反らした。
なんなのよ、
少しすねたい感じはしたけど、
私は高校生。
そんなにガキじゃないから。
って心に言いつけた。
そんなことをしてると、
奈美恵さんが私に近づき耳打ちしてきた。
「今、耳赤いよ、龍之介。」
って。
…なんか、いらっとした。
なんか、なんか、
『龍之介さんが耳赤くするのは照れてる印。』
それを知ってたんだなって考えたら、
いらいらした。
『別に、誰が何を知ってようがどうでもいい。』
って今までいってた私にとって、
不思議でたまらない感覚だ。
私は奈美恵さんに皮肉っぽい言い方で
「龍之介さんのこと、よく知ってるんですね」
っていった。
しかも小声で。
私、なにやってるんだろ?
そう考えた冷静な私が、
慌てて訂正しようとしたけど、
「え?あらぁ♪」
と意味深な笑みをしたあと
「そりゃあ、私は龍之介の幼馴染みだもの!」
といって笑った。
幼馴染み…かぁ、
そりゃあ、私より知ってるよね。
龍之介さんの過去とか、
色々。
そう考えたら、無償に悲しくなった。
すごく、切なくなった。



