龍之介さんに教えてもらった職員室の場所までいく。

「あの、すいません…」

30代くらいの女の人に声をかける。

「…見かけない顔ね?転校生?」

「あ、はい。…草薙和泉です。」

あぶない。


間違えて旧姓言おうとしちゃったよ…。

「あ、草薙さんね!
ちょっと待ってちょうだい♪」

ルンルンしながら職員室に入っていった女の人。


少し扉から離れて待ってると、

中から20代くらいの男の人が出てきた。

「草薙和泉さんだね?」

「あ、はい。」

「はじめまして。俺は和泉さんの担任の柳颯太です。」

「あ、はじめまして、よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げると、

「みんな俺のこと柳っちって呼ぶから、そう呼んでくれていいよ。」

「あ、はい!了解です!!」

私達は軽く挨拶をしたあと、教室へ向かった。

柳っちの後ろを歩いてると

「あのこ、転校生かな…」

「化粧してないね」

「柳っちのクラスでしょ…?」

「中田の次はあのこかぁ」

「かわいそ…」


いろんなところでこんなような会話をされる。

化粧してないからかわいそう?

意味わからん。

ってゆうか…

「この学校、化粧してる子多くないですか?」

多いって言うよりもう、

ほとんど全員。

「あ、あぁ…。みんかおしゃれだからね。」

…?

今、言葉濁した…?

なんか、隠してる気がする…。

もんもんと考えてる間に教室についた。

私は…

1-B。

柳っちは入り口の前で待ってるようにいってきた。

そして、

「ほら!
HRやるぞ!席つけー。」

その声にノロノロとみんなが動く。

「転校生を紹介する。」

柳っちは初っぱならからそう切り出すと、

私を手招きした。

私が教室にはいると、

ざわつく。

「あのこ、すっぴん?」

「あー、じゃあ、次はあのこだね。」

「るりに聞いてみるか。」

そんな声が聞こえたと思ったら、

教室にシャッター音が鳴り響いた。

…無音使えよとは思いつつ、

自己紹介を始める。

「はじめまして。草薙和泉です。
これからよろしくお願いします。」

私がそう言うと、

ナリヤン(ヤンキーぶってる人)っぽい女子が私に向かって、

「誰がよろしくなんかするかよ。ぶす。」

って。

あら、素直な人。

でも、ごめんなさいね。

私子供だから、

売られた喧嘩は買うのが流儀。

「別にそんなこと言う人と仲良くしようとは思わないので安心してください。」

最後は清々しいほどの笑顔。

「なにあいつ!!」

「マジ何様だよ」

「ありえねぇ…。ぜってぇしめる。」

…えっと、

ギャル達が私をにらんでそういってきてはいるんだけど…

ぶっちゃけ、龍之介さんににらまれるよりはるかに怖くない、

本当ににらむって言うのはね、

「こーすんだよ。」

小声でそういって、うるさいギャル共を睨み付ける。

「「「…っ!?」」」

騒いでた子達は黙った。

まぁ、ナリヤンなんてそんなもんでしょ。

なんてあきれながら指示された席につく。

右隣も、左隣も、前すらいない。

欠席かな?

ってゆうか…

初っぱならから言い争っちゃったよ…

失敗した。

友達できるかなぁ…。

なんて考えてたら、柳っちが点呼をとりはじめた。

「今日いないのはー…」

「竜(りゅう)と大河とるり!」

さっきのギャルが言った。

…聞いたことある名前なんだけど。


「…あぁ。ありがとな。あとはー…」

シーン

みんなが黙る。

「中田だけだな。」

「…誰だっけ?そいつ!」

「さぁ?」

ギャハハハと下品な笑いかたをしたギャル達。

…性格悪。