「ひゃあー!いつぶりかの酒だぁ!」

太郎さんの声が聞こえた。

「飲みすぎるなよ?」

蓮司さんの声も。

…だんだん近づく声。

やだ。

泣きそうなの、見られたくない…

私は慌てて自分達の部屋に入った。

そしてそのまま布団へダイブ。

泣いてるのばれたらきっと、

おっちゃんに龍之介さんが怒られちゃうから…。

目が赤くなる前に泣き止まなきゃ…。

「ぐすっ」

幸子達が起きてないことを確認するため


体を起こす。

幸子たちの方を見たら…



座ってる人影があった。

「ーーーっ!?!?」

声にならない声をあげた。




……あれ、




龍之介さん…。


よくよく見てみると、

そこには静かに座ってる龍之介さんがいた。

「…お前、泣いたのか?」

「……。」

「泣いていいのは俺の前でだけだ。前にそう言ったろ?」

優しく、包み込むような感じで問いかけてきた。

…そんなこと、言ってないよ…。

でも、安心するのは事実。

近くにいるってこともそうだけど、

嫌われてないかもって、そう思えたから。

「…なぜ、泣いた?」

私は黙る

だって、あなたに嫌われたかもなんてこと考えてました何て言えないもん。

それこそ、被害妄想してんじゃねーよ的な感じになっちゃって、嫌われるかもしれない。

「もしかして、零夜に何かされたのか?」

「え?零夜さん?」

意味がわからなくて聞き返す。

「違うならそれでいい…。」

龍之介さんはそう言って私を引き寄せ、抱き締めた。

そして、言った

耳元で

ほんとにほんとに小さい声で



「嫉妬した」


って。


なんで嫉妬なんかしたのかわからないけど、

耳を赤くしてる龍之介さんをみたら、


なんか、聞かなくてもいいやって、思った。