私もそっちを見ると、

車によりかかってる龍之介さんがいた。

一瞬、一瞬だけど…

かっこいいって思った。

「黙って待っててくれるのねぇ。優しいわねぇ、」

「え、ちが、彼氏じゃないですよ!」

「ふふふっ、まぁ、頑張ってね」

笑顔でそう言って家に戻っていった大屋さん。

「違うのになぁ…」

なんて呟いたら、

後ろから

「終わったか?」

と声をかけられた

「あ、龍之介さん、お待たせしました!こっちです」

…あ。

めちゃくちゃ荒れてる気がする…

外で待っててもらった方が利口かもしれない…

そう思って龍之介さんの名前を呼ぼうとしたら、

「お前の部屋か…」

そう言って少し微笑んだ。

…そんな顔されちゃ、入るななんて言えないじゃん…

私は玄関の扉を開け、声をかける。

「ただいま」

「……」

誰もいなさそう。