9時頃。
荷物を取りに行くため、
龍之介さんと家を出た。
「「「いってらっしゃいやせ!!!」」」
他のヤクザの人たちから挨拶される
んー、
やっぱ慣れないなぁ…
「いってきまーす」
とだけ返して、龍之介さんの後ろを歩く。
「こっちだ」
というのでついていくと、
なんか高級そうな車があった
「乗れ」
そう言って扉を開けてくれる
「あ、ありがとうございます!」
お礼をいって車に乗り込む。
私が乗ったのを確認すると、
龍之介さんは運転席に乗り込んだ。
「……」
「……」
沈黙が流れる
う、気まずい…
でもなぁ、話すことなんて…
あるわ。
「龍之介さん!昨日の夜、助けてくれてありがとうございます!」
私が笑って言うと
「なんのことだ?」
とキョトンとしてきいてきた。
あれ、助けてくれたんじゃなかったの?
あれれれれ?
あ、知らないふりしてるだけかも。
んー、なに考えてるんだかわかんないなぁ…
なんて考えてたら、
龍之介さんが声をかけてきた
「ついたぞ。」
…え、ここ私の家じゃないけど…
目の前にあるのは、病院。
しかも整形外科。
あ、もしかして…
「さっさといくぞ。」
そう言って手を引く
…怪我してない方の手を。
「お待ちしておりましたー」
看護師さんからVIP待遇を受ける。
「待ちたくないんだが。」
龍之介さんはそういった
…は?
いや、待ちたくなくても待つのが常識でしょうに。
「かしこまりましたー」
いや、かしこまっちゃダメでしょ。
並んでる人、五、六人 なんだから、それくらい待とうよ。
「あ、すいません看護師さん。待ちます!ちゃんと順番守ってください」
私がそう声をかけると、
少し驚いたような顔で
「あ、はーい」
って。
そして、龍之介さんは…不機嫌そう。
「なぜ待つんだ。お前のこの手、待てる状態じゃないだろ。」
…まさかだけど、
私の手、心配したから早く診察してほしかったのかな?
いや、でもさ、
「待ってる人がいるんです。待つのが常識です。それに、30分程度、待ってても変わりませんよ。」
私がそういって微笑むと、
「…そうか。」
それだけ言って椅子に座った



