奥さんと一緒に料理を運ぶ。

運び終わった頃、

おっちゃんに呼び出された。

「どーしたの?」

私はおっちゃんの部屋に入り、声をかけた

おっちゃんはいつになく真剣で、

あぁ、ヤクザの顔だ

そう思った。

だからと言って、怖いとは感じなかったけど。

おっちゃんは、目の前の座布団に座るよう言ってきた

私がそこに座ると、静かな声で話始めた。


「いずちゃん、単刀直入に言わせてもらうね。




私の養子になりなさい。」



…え?

「ちょ、おっちゃん急にどうしたの?」

私が少しおちゃらけて聞くと

真剣な顔で返事をした。

「急じゃないよ。結構前から勘づいてた。

お母さんから虐待を受けてるね?」


「…」

否定できずに黙ってると、

また話を始めた。

「蓮司からも報告を受けた。」

…ん?

“からも”ってことは、他の人からも…?

「でも、一番先に私に相談してきたのは


君の弟達だ。」


うそ、幸子逹が…?

「いずねぇがいじめられてるのって言いつけに来たよ」

「…幸子逹が…。」

「よっぽど好かれてるんだなぁ。

泣きそうになりながら言ってたよ。」

「……。」

やばい、泣きそう。

「いつまであの子達に辛い思いさせる気だい?
きっと、あの子達が何より辛いのは、

君が暴行を受けること。

大好きな君を守らないこと…。」

…確かに。

私が殴られると、

寝ていても、何してても、

必ずわたしのそばに寄ってくる

それで言うんだ。

泣きそうになりながら

「大丈夫?」

って。