龍之介さんに借りたパーカーを着ながら海の家で待つ。
結局、みんなにはいれ入れとうながされ、
三人は海に入ってしまった。
つれてきてもらった手前、強くダメだということもできず、
けど入ってほしくないとのおもいもあり、
少し不機嫌になる。
一番非があるのは
他の誰でもなく、私なのはわかっているから。
一番最初から海なんて了承しなきゃよかったんだよね。
隠すことでもないけど、
無駄な心配かけたくないからって、
事情を言わなかった私が悪い。
そうはわかっていてもわかってよ!
と思ってしまう自分もいる。
我が儘だなぁ
そう、自分にあきれつつ、
未だに怒りの矛先を見つけられないでいた。
目の前に座ってる龍之介さんが心配そうに聞いてきた。
「…なにか食いたいもんないか?」
龍之介さんがいたことを思い出した私は
イライラしてるところなんて、龍之介さんに見せたくなくて
無理に笑顔を作る。
けど、笑顔を向けた瞬間、
怒ったように眉間にシワを寄せた。
「…え」
無意識に声を出してしまい、
はっとした。
「いや、なんでもないです」
そう、言うと
無言で去っていってしまった。
…怒らせた?
さっきのイライラはもう、どこかへ飛んでいってしまったようで、
今はもう、不安しかない。
「なにか、変なこと…した?」
そう、小さい声で呟いたけど
ガヤガヤ騒ぐ海の家では
私の小さい声なんて、かき消されてしまった。



