ヤクザの家族になっちゃった!?




「「わぁっ!!!」」

声をあげて喜ぶ幸子と美幸。

コウは

「ねぇねぇ!海まだー?」

って。

いや、目の前にあるよ?

って思ったけど、そりゃそうよね。

コウは一回も見たことないんだっけ。

「ここが海だよ」

っていったら

「わぁぁ!すごーーい」

って。

でもね。

この海が、

私達のお父さんを奪ったんだよ?

そう思うと、憎らしい。

自然を恨んだって仕方ないのはわかってるけど

私の大切な家族を、

奪ったんだから。

だからこれ以上、

大切な人たちを失いたくないの。

海に、取られたくない…。


だからなんだよ、私が嫌だっていってたのは。

けど、入らなきゃ平気だよね

なんて安心してたけど

甘かった。

私の気持ちを知らないみんなは

コウたちを海に連れ込もうとする。

知らないから、仕方ないんだけど、

でもやっぱり、ダメなの。

おっちゃんに声をかける。

「コウたち、水着持ってきてないから入れないでね?」

「ん?コウ達のぶんは持ってきてあるよ?」

そう、平然とした顔で言ったおっちゃん。

うそ…。

計算違い。

それに着替えて喜んでるコウ達。

連れてくるんじゃなかった。

今さらの後悔。

水着に着替えた今、

好奇心旺盛な三人が海に入らないわけがない。

私は事情を話そうと、

慌てておっちゃんに声をかけようとするけど、

もう、近くにはいなかった。

代わりにいたのは龍之介さん。

「あ、「着替えないのか?」

声をかけると、そう、被らせてきた龍之介さん。

「あ、あぁ…」

その事を思い出した私は、

悲しそうな顔をする龍之介さんに背中を押され、

着替えに行った。