誰か一人がこの世界からいなくなっても、何も変わらないことがよくわかった一ヶ月間だった。

俺の彼女が死んでからの一ヶ月間を一言で表すならこうだろうか。

なんてことを、俺は独り、登校中に考える。アイツがいなくなってからバカみたいに静かになった登校。
もともと俺は友達が少ない。彼女ができたことくらい不思議だ。しかも性格がすごく明るいヤツ。そしてバカだった。

・・・バカだから死んだ。

まぁ、こんなこといつまでも引きずっていても時間の無駄だ。さっさと諦めをつけよう。
なんて、何度考えたことか。
忘れようと何度もした。だが、忘れられなかった。
葬式や通夜の記憶だって曖昧だ。きっと、あいつはまだ生きている、ヘラヘラしながら心配かけてごめんねーなんて馬鹿面引っさげて戻ってくるんだと思っている自分がどこかにいるんだろう。
ああ、こんなんじゃだめだ。早く忘れてしまおう。
なんて思いながら、通学路を足早に歩く。だんだん、自分と同じ高校の制服を来た人たちが増えてきた。
ああ、もう少しで着いてしまう。

何も変わらない学校に。