叶恋〜きこい〜

昔のあたし…一言で表せば、男を弄ぶ1人者だった。気に入らない男がいれば、捨てて次の男へ。また嫌いになれば、次の男へ。あたしは腐ってた。何人の男を傷付けてきたのだろうか…謝りたい。今すぐに…弄んでる最中に熱心にあたしについて来てくれた人がいた。
「なぁ？奏多？」
「ん？」
あたしの名前を愛しそうに呼ぶ、拓巳だった。
「俺…な…奏多が好きなんだ。」
突然の告白にあたしはドキッとしたが、慣れている過ちかあまりテンパらなかった。
「ありがとう。拓巳があたしが好きなんて、知らなかったよ。」
「なぁ？俺と付き合う？」
「…考えていいかな？」
「おう、じゃあ俺は部活行くな。」
「うん、頑張ってね。」
軽めにあいさつを交わして、拓巳が手を振る。あたしは恥ずかしがっているように小さく微笑んで手を振った。
あたしは何をしているのか…好きだなんて感情は本当はない。ただ、あたしの物として独占したかっただけだった。バカだよ…それを気づかず弄んで…。今ならしない。きちんと言える。だけど…なぜ気づかなかったのだろう？汚染？洗脳？…どれも違う。それは、さみしさだったのだろう。あたしは単純にさみしかった。なんで、どうして1人なんだ？愛されたい。そんな心の迷いがあたしを違う方向へと歩ませた。
拓巳の告白は嬉しかった。ずっと憧れてた存在だったし。でも…あたしでいいの？拓巳は幸せになれるの？