あたしは自分が思っていることと、違うことを願いながら聞いた。


「あぁ。冬樹、、、さっき居た無愛想の男が冬樹って言うんだけど、あいつが神谷組の若頭なんだよ」


あたしの願いは虚しく、省吾が言う。


組の事務所で、「若」って呼ばれてたら、そうなるのはわかるけど、、、


あたし、どんだけついていないんだろう。


「あたし、売られるんですか?」


あたしは思ったことを言うと、省吾はお腹を抱えて笑い出す。


え?


そんな、おかしいことを言ったつもりはない。


「あぁ、ごめんごめん。そんなことはしないよ。なぁ、冬樹」


いつ戻って来たのか、ドアのところに入る冬樹に聞く。


いや、この人なら平気でそんなことしそうなんですけど、、、